
「ごめんなさい」が言えない子に足りないもの
2026-07-13
「ごめんなさいって言いなさい!」
叱っても黙ったまま。下を向いて、ぐっと口を閉じている。
「なんでこの子は素直に謝れないんだろう」と思ったこと、ありますか。
実は、「ごめんなさい」が言えない子には、ちゃんと理由があります。そしてその理由を知ると、対応がガラッと変わります。
「ごめんなさい」は、実はとても難しい言葉
大人は「ごめんなさい」をさらっと言えますよね。でも子どもにとって、これはとても高度なことです。
「ごめんなさい」を言うためには、こんなことが同時に必要です。
- 自分が何かをしてしまったと気づく
- 相手が傷ついたり困ったりしたことを理解する
- 自分の行動が「よくなかった」と認める
- それを言葉にして相手に伝える勇気を持つ
4つ全部いっぺんにやらなければいけません。大人でも難しいのに、3〜5歳の子どもがすぐにできないのは当たり前なんです。
発達の目安でいうと、「自分がやったことが相手を傷つけた」という因果関係をぼんやり理解し始めるのが3歳ごろ。それを言葉にできるようになるのは、4〜5歳くらいからが多いです。
「言えない」のは反省していないからではなく、まだそれだけの力が育っていないからかもしれません。
「言いなさい」と強制すると何が起きるか
「ごめんなさいって言わないと許さないよ」という状況で、子どもが何を考えているか想像してみてください。
怖い。早く終わらせたい。言えば許してもらえる。
そうやって絞り出した「ごめんなさい」は、本当の謝罪ではありません。「怒られるから言う」言葉です。
これを繰り返すと、「ごめんなさい」が魔法の言葉になってしまいます。言いさえすれば終わる。そう学習してしまうのです。
さらに深刻なのは、「謝ることへの恐怖」が育つことです。謝るたびに追い詰められる経験をしてきた子は、「謝ったらもっと怒られる」という感覚が刷り込まれています。だから、いざ謝りたい場面でも体が固まってしまう。
本当に育てたいのは、「悪かった」という気持ちそのもののはずですよね。
「ごめんなさい」が言えない子に足りないもの
では何が足りないのか。大きく分けると、2つあります。
① 自分の感情を言葉にする経験
「ごめんなさい」は感情を言葉にする行為です。普段から自分の気持ちを言葉にする経験が少ないと、謝る場面でも言葉が出てきません。
日頃から「今どんな気持ち?」「嬉しかった?悲しかった?」と気持ちを言語化する習慣が、じわじわ効いてきます。
「やっちゃったな」「まずかったな」という気持ちに、親が「ドキドキしてる?」「なんか気になってる?」と言葉をかけてあげるだけでも違います。感情に名前がついていくと、それを表現できるようになっていきます。
② 「謝っても大丈夫」という安心感
謝ることへの恐怖がある子もいます。「謝ったらもっと怒られる」「謝っても許してもらえない」そう感じていると、口が閉じてしまいます。
謝った後に「言えたね」「ありがとう」と受け止めてもらえた経験が、「謝っても大丈夫」という安心感を育てます。
この安心感は、親との関係の中で少しずつ積み重なっていくものです。急には変わりません。でも、「謝れたらちゃんと受け止める」を繰り返すことで、必ず育っていきます。
親が先に謝る姿を見せる
「ごめんなさい」を育てる一番の方法は、親自身が謝る姿を見せることです。
子どもを怒りすぎてしまった日の夜に「さっきは言いすぎたね、ごめんね」と伝える。間違えたときに「ごめん、ママの勘違いだった」と素直に認める。
それを見て育った子は、「大人でも謝る」「謝ることは恥ずかしくない」と学びます。
そしてもう一つ。親が謝った後に、どうなるかも見ています。親が謝って、関係がちゃんと戻っていく。その流れを繰り返し見ることで、「謝れば大丈夫なんだ」という感覚が育ちます。
言葉で教えるより、見せる方がずっと伝わります。
「ごめんなさい」より先に聞くこと
謝らせようとする前に、まずこれを聞いてみてください。
「どうしてそうしたの?」
叩いてしまった、取ってしまった、壊してしまった。その行動には、子どもなりの理由があることがほとんどです。
「先に取られたから」「ほしかったのに言えなかったから」「自分でも止められなかった」
理由を聞いて、気持ちを受け止めてから「でも、○○ちゃんは悲しかったと思うよ」と伝える。そうすると、子どもの中に「悪かった」という気持ちが自然に生まれやすくなります。
親が「お前が悪い」と決めつけるのではなく、「こういうことが起きたんだね、どうしようか」という姿勢で関わるとき、子どもは自分から「ごめんね」に向かっていけます。
強制された「ごめんなさい」ではなく、自分から出てくる謝罪を待ってあげてください。
「ごめんなさいが言えない」が続くとき
どうしても言葉にできない子もいます。そういうときは、行動で謝るという選択肢を教えてあげてください。
「言葉で言えなくても、一緒に直してあげようか」「これを渡してきたら?」
謝罪は言葉だけじゃなくていい。壊したものを一緒に直す、泣いている子のそばに行く、おもちゃを貸してあげる。行動で表す経験を積み重ねることで、だんだん言葉もついてきます。
謝れた日は、たくさん認めてあげてください
「ごめんなさい」が言えた日は、そのことをちゃんと認めてあげてください。
「言えたね、えらかったよ」「謝れてよかったね」
その一言が、次に謝る勇気につながります。
謝ることは、勇気がいることです。自分が「やってしまった」と認めて、相手に伝える。それだけのことを、小さな体でやろうとしているんです。
その勇気を出した子どもを、たっぷり認めてあげてください。
今日も、おつかれさまでした。